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私用メールと解雇

私用メールと解雇

質問

従業員が勤務時間中、私用メールを頻繁にしています。解雇できないでしょうか。

回答

私用メールの頻度等にもよりますが、1カ月に2回から3回程度、勤務時間中に私用メールをしていた、という場合、当該事実のみでは解雇できないものと考えられます。

参照判例

東京地裁平成19年9月18日判決労判 947号23頁
「しかし、就業時間内に世間話、同僚の批判やうわさ話、懇親会の打ち合わせといった業務と直接的に関係のない会話等をするといったことは世間で一般的に行われていることであるし、これらが業務上の円滑な人間関係の形成、維持のために必要となる側面も否定できないことからすれば、これらの行為があったからといって、これを全て職務専念義務違反に問うことが許されるものではない。そして、被告就業規則が私用メールのやり取りを禁止しているのも、主に従業員が就業時間中に私用メールのやり取りをすることにより職務を懈怠することを防ぐことに重点をおいてのものと解されることからすれば、原告の前記私用メールのやり取りも、これが、社会通念上許容される範囲を超え、職務に支障が生じさせる程度のものであったかどうかが問題とされるべきであって、これが肯定される場合に、初めて就業規則違反を問えると解される。そこで検討すると、問題とされた平成16年4月5日から平成17年4月21日までの約13か月の間、原告が送信した私用メールは、証拠上32通であり(①ないし③)、その頻度は、1か月に2通から3通というものにすぎない。また、その内容も、中には、取引先の関係者からの世間話に応じたもの、母校の後輩からの就職相談に答えたもの、社員との懇親会の打ち合わせといったやむを得ないものや、その必要性をあながち否定しがたいものも含まれているし、証拠上、その作成に長時間を要し、業務に具体的支障を生じさせたと解されるメールも存在しない。また、①のメールに関しては、もっぱら解雇事由ⅴにおいて考慮すればよい問題であって、これを別の解雇事由として構成することが真に必要であるかも疑問である。
以上によれば、原告がした私用メールが社会通念上許容される範囲を超えるものであったとは認めがたく、これを就業規則違反に問うことはできないというほかない。
(3) 以上によれば、原告に解雇事由ⅵは認められない。」

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